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ACEサマーインテンシブプログラム2024

異文化コミュニケーション学部 小野 瑞希さん

ACEサマーインテンシブプログラムを通しての学びと成長

今回のプログラムを通しての学びと成長は大きく3つあります。まず1つ目は、今回のプログラムのテーマであった「災害という文脈から考える強固な社会の構築」についての理解を深められたことです。今回のプログラムへの参加にあたって、私は特に、災害時において日本に住む海外の方々がどのような課題に直面し、どのような援助を求めているのかという問題意識を持って臨みました。事前学習を通して、言葉の障壁や文化差によって多くの問題が生じることを知り、それらに対してどのようなアクションが必要なのだろうかと考えました。そのような視点を持ちながらプログラム中にさまざまな方からお話を伺う中で、マイノリティのニーズは見過ごされやすいこと、そして、特にマイノリティにとっては地域やコミュニティの連帯と協力が重要であることを学びました。これらのことから、災害時における外国人を含むマイノリティに関して、彼らの立場になって考えることや日頃からのコミュニケーションの重要性を認識し、そのようなアクションを通して社会に貢献したいと考えるようになりました。

2つ目は、海外の人とのコミュニケーションにおいて、英語は手段の1つでしかなく、他にも多様なアプローチが可能であると考えるようになったことです。これまでの留学などの海外経験においては、言葉のみに焦点を過剰に当ててしまい、上手く英語を話すことができないことで関係性の構築に苦労した経験がありました。そのような反省を受けて、今回のプログラム中は身振りやリアクションを意識したり、積極的に楽しい経験や瞬間を共有したりするなど、言語以外の部分でのコミュニケーションも心がけました。それらを通じて、自分がどのような人間なのかを周囲に少しでも理解してもらうことで、円滑なコミュニケーションや良好な関係性の構築に寄与した側面があると感じています。このようなことから、海外の人との英語を用いたコミュニケーションであっても、言語のみに囚われることなく、コミュニケーションを構成する基本的な要素に立ち返り、多様な手段を用いて関係を構築していくことが大切であるという考えに至りました。 3つ目に、多様なメンバーと共に協働する上で、自分の中の普通や当たり前を周囲に強要するのではなく、差異を認め合い相手を尊重することの重要性を再認識することができました。今回のプログラム中に多様な人々と触れ合う中で、大小さまざまな違いを感じました。しかしながら、そのような違いに対して、それを否定したり、自身の価値観を押しつけたりしないように努めました。そのような各々の個性や強みを自分らしく発揮しやすい環境作りが、チームや組織にとってより良い過程や結果に繋がるのではないかと考えました。この点に関して、差異自体が摩擦や衝突を生むと言われることもありますが、厳密には違いを受け入れられず、それを否定的に捉えてしまう偏狭な考え方こそが衝突の根本的な原因であるように個人的には思います。今回のプログラムでのチームビルディングやディスカッションを通して、そのような他者理解に関する理解を実践的に深められたことが一番の収穫だと感じています。

これまで述べてきた学びは、グローバル社会を生きていく上でも重要な点であると思います。多様な人々との関わり合いの中で、自分にとって普通ではないと感じる差異に直面したとき、表層の部分だけを見て否定的な判断を下し、自己完結してしまうと、誤解や軋轢に繋がりかねません。それを避けるためには、今回のプログラムを通じて考えたように、違いを否定せずに相手を尊重することや、言葉のみに頼らない密接な対話による関係構築と他者理解が必要不可欠であると考えます。もちろん、全ての差異に対して必ずしも正確に対処できるわけではないですが、自分の言動が相手にとってどのような意味を持つのかを考える内省的な態度や相手の立場からはどのように見えるのかを考える複眼的な視点、想像力は、グローバル社会において重要な資質であるという認識を今回のプログラムを通して更に深めることができました。