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ACEウィンターインテンシブプログラム2023
2023年2月5日から18日の2週間、ソウル大学校にてACEウィンターインテンシブプログラムが開催されました。立教大学からは、8名の学生が参加しました。こちらでは、GLAP4年生(当時)布谷優さんの報告書をご紹介いたします。
GLAP 布谷優さん
この報告書では、2023年2月5日から18日までソウル大学校で開かれたACEプログラムを通して得た学びを三つに分けて書きます。
1.常識を疑えー批判的思考と相互理解
「視野を広く持とう」や「異なる意見も尊重しよう」という言葉は、より多様化してきている現代社会でよく耳にしますが、安定したコミュニティの中に属しているとなかなか実践が困難であったりします。その機会を与えてくれたのが、今回のプログラムでした。初めに「アジアの平和」というテーマを聞いた時、なんて複雑で取り扱いに苦労する議題なのだろうと思いました。そして、政治の専門家でもない単なる学生達が、たったの2週間で結論まで至れるのかと多少不安な心持ちで挑みました。しかし、今回私がお話した方々は、皆が寛容的で思慮深く、聡明な人達でした。日頃から物事を批判的に考えるマインドセットが当たり前のように備わっていて、まさに将来の国際社会を担っていくに相応しい面々でした。私はこの経験を通して、特に中国の印象が変わりました。中国の学生と話をし、ソウル大学校の先生から講義を聞いた後、米中関係において、日本ではアメリカ寄りの報道がされているのかもしれないと感じました。これも実際に会って話してみたからこその気づきだったと思います。視野を広げるということは、言うは易く行うは難しです。私自身、今後は積極的に海外メディアに触れ、海外の方の声にも耳を傾けていく必要があると痛感した体験でした。
2.ソフトパワーが世論を作り、そして政治を動かす
この2週間で、自身のグループプレゼンテーションのテーマでもあった「ソフトパワー」の影響力を、身をもって体感しました。チーム全体としては、「政治レベルでの平和構築は、政府として国と国民を守る責任や他国との利害関係が絡むので難しいけれども、個人レベルでは文化交流を通じて良好な関係を築くことができる」という結論でした。帰国後ちょうど、日韓関係について書かれた記事がよく見受けられました。外交面では戦後最悪といわれていた日韓関係が、韓国政府による徴用工問題の解決策提示を機に、改善の方向に向かっているということです。それは、現在の世界情勢が大いに関わってきますが、同時に、韓国で日本文化ブームが起こっているということも偶然ではないような気がしました。文化交流を通して相手国にポジティブな印象を抱いた個人が集まると世論を形成し、さらには政治にも影響を与える可能性があるのではないかと認識した瞬間でした。実際、チームメンバーでお互いの文化について理解を深めたり交流をした後の方が、初対面の時よりも議論がしやすく、相手のことを理解しようとすることができました。グローバル化した現在、私たちの日常には異文化が溢れています。そんな何気なく触れている「文化」が国際平和を作る一つの鍵になるのではないかと、実際に海外の学生と交流してみて思いました。
3.グローバルリーダーに必要な英語力とは
私は普段ほぼ全ての授業を英語で受講しています。それもあり、渡航前は海外の学生と2週間英語で過ごすことに気負いしていませんでした。しかし、授業だけでなく学校外も1日中英語で交流してみて、特に大きな問題はなかったものの、少し複雑な内容や微妙なニュアンスを表現したい時に出てこないことに気づきました。また、話している言語は英語でも、考え方や表現方法は日本らしいのかもしれないとも思いました。もちろん平和構築という難解なテーマを多様なバックグラウンドをもった海外の学生と英語で話し合えたことは自信にも繋がりましたが、同時に、母国語だともっと深掘りできたかもしれないという反省もありました。私は今回の経験を経て、将来アジアを舞台に活躍したいという思いが強まりました。現状としては、日本にいる限り英語を全く使わなくても生きていけるかもしれません。しかし、自分の目指しているものは外にあり、今後海外視点の視野を広げていくためには、自身の英語力もさらに磨いていかなければいけないなと、今回のプログラムで刺激を受けることができて非常に良い経験だったと思います。