VOICES

ACE3期生

GLAP 肥田 理彩子さん

北京大学・ソウル大学校留学の振り返り

大学生活

ソウル大学校では自由専攻学部に所属し、韓国語の授業に加え、音楽に関する専門的な学びを深めました。民族音楽学(Ethnomusicology)の授業では、音楽やコンサート分析やフィールドワークの基礎を学び、世界各地の民俗音楽を扱う「Music in the World」では多様な文化における音楽の役割を考察しました。
課外活動としては、留学生が多く所属する「SNU Buddy」に参加しました。約400名が所属するプログラムで、韓国人学生1名と留学生3〜4名で構成される小グループを中心に、昼食会やイベント、週末の文化交流が活発に行われていました。特に4月のSNU Festivalやテコンドー体験、5月の合宿(MT)への参加は国籍や言語の異なる仲間と深い交流を持ち、かけがえのない友人を作ることができました。

日常生活

住居は地下鉄のソウル大入口駅から徒歩4分にある一人部屋アパートで、家具や家電が整い、コンパクトながら快適に過ごすことができました。大学へは公共バスや大学の無料シャトルバスを利用することができます。学食も複数あり、手頃な価格で栄養バランスの取れた食事が提供されていました。
アパートの周辺には飲食店やカフェ、スーパーが揃っており、生活の利便性も高かったです。ソウルは公共交通機関が発達しており、休日には地下鉄やバスを使ってさまざまな街を訪れました。
また、滞在中には韓国大統領選挙を経験し、メディア報道や街頭演説、デモへの参加度を通じて政治への関心の高さを実感しました。選挙日を国民の休日とする制度や、若者が興味を持てるよう工夫された選挙報道など、日本とは異なる社会的アプローチに学ぶ点が多くありました。

北京大学・ソウル大学校留学の振り返り

ACEプログラムを通して、日本と深い関わりを持つ中国と韓国の両国に留学できたことは、社会や文化、政治、人との関わり方を多角的に考えるきっかけとなり、私の人生における大きな財産となりました。文化的・歴史的な共通点が多い一方で、教育制度や学生の姿勢、社会構造、歴史や政治に対する態度、そして国民性にはそれぞれ明確な違いがあり、それらを“生の体験”を通して実感することができました。
特にソウル大学校での留学は、日本と文化的に似た側面が多く、生活面での適応は比較的容易でしたが、同時に社会や学生一人ひとりの意識の高さには大きな刺激を受けました。日本でもKPOPやKコンテンツの人気から韓国文化への関心が高まっていますが、韓国では日本文化への関心が非常に高く、多くの若者がアニメやJ-POPを通じて日本語を学び、日本への理解を深めていました。日本人としてとても嬉しく、相互理解の積み重ねこそが、両国の関係を前向きに発展させる鍵であると実感しました。
一方で、SNSやメディアを通じて広まる情報と、現地での実際の印象が大きく異なることも強く感じました。渡航前は日中・日韓関係や歴史問題への不安、留学中も中国や韓国国内の誤情報や偏った情報を目にすることも多くありました。しかし、実際に現地で人々と関わる中で、そのような先入観がいかに表面的であったかを痛感しました。SNSやインターネットで得た情報と現地は全く異なり、両国共日本が学ぶべき点が非常に多く、日本人に対して温かく接し、日本文化への理解や関心を示してくれました。こうした経験から、ネット上の情報だけに依存せず、自ら現場に足を運び、直接人と関わることの重要性を学びました。まさに「百聞は一見にしかず」を実感した瞬間でした。
さらに、留学を通じて印象的だったのは、現地の学生たちの学業に対する真摯な姿勢と主体性の高さです。海外への関心、自分自身の経験やスキルアップのための努力を怠らず、自ら挑戦し、社会に貢献しようとする姿勢は、今後の日本の若者にとっても重要な示唆を与えるものでした。私はこれまで比較的受け身な姿勢で物事に取り組むことが多かったのですが、この経験を通じて、自ら目標を掲げ、行動し、変化を生み出す人になりたいと強く思うようになりました。今後も国や文化を超えた理解を促進し、より良い国際社会の実現に貢献できるよう努力を重ねていきたいと思います。